当院の感染症情報2022年第1週(令和4年1月3日~1月9日)をお知らせいたします。
当院患者数/郡山市患者数(感染症発生動向調査)です。
新型コロナウイルスに関しては「お知らせ」をご覧ください。
前週 | 今週 | |
インフルエンザ | 0/0名 | 0/0名 |
RSウイルス感染症 | 0/0 | 0/0 |
咽頭結膜熱 | 1/3 | 2/4 |
A群溶連菌感染症 | 0/1 | 0/6 |
感染性胃腸炎 | 3/18 | 0/8 |
水痘 | 0/0 | 0/0 |
手足口病 | 0/1 | 0/1 |
伝染性紅斑 | 0/1 | 0/0 |
突発性発疹 | 1/5 | 0/2 |
ヘルパンギーナ | 0/2 | 0/2 |
流行性耳下腺炎 | 0/0 | 0/0 |
「RSウイルス感染症」は主に寒い時期の9月~4月に流行しますが、最近では、夏に流行が見られるようになってきました。有効な治療薬がなく特に6ヵ月未満の乳児や心臓病を持っている乳幼児で重症化しやすく、入院が必要になることもありますので注意しましょう。鼻汁からの検査キットで簡単に診断できますが、保険による検査は1歳まで(心臓病などを除く)となっています。それ以上の年齢では軽症のことが多いため入院が必要になる時のみ行います。当院では2歳未満は重症となる方もいますので、症状がおもい方では当院負担で検査を行っています。他人への感染期間 が約1ヶ月と長く、また、何度でも繰り返し感染して、3歳未満でほぼ全員がかかってしまうといわれています。しかし、だんだん軽くなり、年長児では軽い風邪症状のことが多くなります。隔離の明確な基準はなく、咳が落ち着くまでとなっています。多くは1~2週間程度のことが多いようです。鼻汁の吸引や吸入が有効なことが多いので鼻水もこまめに吸ってあげましょう。ひどい場合は毎日、吸入に通院してもらいます。不眠や呼吸困難、無呼吸、哺乳不能などの場合、入院して治療します。
感染症動向調査にはありませんが、「ヒトメタニューモウイルス感染症」もRSウイルスとほぼ、同じような症状を呈します。最近、6歳未満で肺炎が強く、疑われた場合、検査キットで診断できるようになってきました。主に、5月頃を中心に流行が見られますが、同様に、有効な薬剤はありません。
「咽頭結膜熱」はアデノウイルスが原因です。夏、プールの水を介してもうつるので、プール熱ともいわれています。その名の通り、のどが赤くなり、眼が結膜炎になり、高熱が出ます。発熱は2~5日程度続くことが多いのですが、有効な薬がありません。水分・電解質を補給し、安静にしましょう。集団生活は熱など症状が落ち着いてから2日間お休みが必要となります。
「感染性胃腸炎」のうち「ウイルス性の胃腸炎」(ノロ、ロタ、アデノウイルスなど)には有効な薬がありません。おう吐の強い初期は水分を少しずつ与え、脱水に気をつけましょう。感染力が非常に強いので注意しましょう。なお、便が正常になっても1ヶ月程度便中にウイルスが出続けるため明確な隔離の基準はありませんが、症状の強い場合は集団生活を避け、しばらく手洗いには気をつけましょう。乳幼児で重症化しやすいロタウイルスにはワクチンがあり、郡山市では12,000円助成され、自己負担は合計15,000円となります。(助成なしの場合、27,000円)流行をくりかえしています。
血便、腹痛、発熱など症状がひどいときには「細菌性胃腸炎」のこともあります。早めに受診しましょう。
「風疹」は妊娠中にかかると奇形児(先天性風疹症候群)が生まれることもありますので成人で免疫の無い方もワクチンを受けておきましょう。(福島県の助成制度がありますので対象と思われる方は受付にお尋ねください。)
「麻疹」はワクチンでほぼ、防げますが、小さい頃の1回だけですとかかってしまうことが多くなりますので小学校入学前の2回目を忘れずに受けましょう。(1回で95%、2回で99%の方に免疫が出来ます。ただし、1回だけで10年以上経過すると免疫が低下してしまいます。)2回目を受けていなかった人は有料となりますが、ワクチンを受けましょう。2回のワクチンが大学入学や就職の条件になっていることもあります。(風疹でも同じ)
「溶連菌感染症」は通年性で流行が見られています。リウマチ熱や急性腎炎を引き起こすことがあり、再発も多いため、約10日間の抗生剤の服用が必要です。特に、2週間後から1ヵ月後にかけて腎炎が起きやすいため注意が必要です。
「水痘」には有効な薬があります。接触後3日以内の場合、ワクチンで発症を予防できますので、主治医にご相談ください。また、ワクチンは2回受けるとかからずに済みます(かかっても軽く済む)ので対象の方は早めに接種しましょう。定期接種(1~3歳未満)の時期を過ぎてもワクチンは可能です。この場合、有料となりますが、受付までお問い合わせください。
「手足口病」は、主に手、足、口、肛門周囲に小さな水疱ができますが、最近は、体にも見られることがあります。2日間ほど発熱がみられる事が多く、発熱と同時か少し遅れてから発疹が見られます。有効な薬はありませんが、1週間程で自然に治ります。1ヶ月ほど感染することが知られており、隔離は現実には難しいため実際には症状のひどい時期だけ自宅療養することになります。口内炎がひどい時期はなるべくやわらかいしみない食べ物を与えたり、水分、電解質もこまめに飲ませてください。まれに髄膜炎や脳炎、心筋炎などの重篤な合併症が見られますので気をつけましょう。今シーズンは2~3種類のウイルスによる流行が見られているようですので2~3回かかってしまうことが多いようです。最近の手足口病は水疱の出現が多く、治癒後に手足の皮がむけたり、爪が割れたりする場合があります。いずれも、保湿や保護をして自然に治るのを待つようになります。
「ヘルパンギーナ」は、のど(口内)に水疱が出来ます。手足口病と同じタイプのウイルスが原因です。手足口病と同じ注意をしてください。症状が治まれば(解熱して、食欲があれば)、登園・登校可能です。
「伝染性紅斑」はほっぺが赤くなるため「リンゴ病」と言われていますが、腕や足にも紅斑が出来ます。なお、顔が赤くなった時にはうつらなくなっているため、隔離の必要はありません。効く薬はありませんが、1週間程で自然に治ります。ただし、顔や体が暖まる機会が多いとひどくなったり、長引きますので気をつけましょう。成人ではひどくなることがあり、特に、妊婦さんでは流早産の原因となりますので注意が必要です。
「おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)」は、合併症の髄膜炎、難聴、膵炎、思春期以降での不妊症(睾丸炎、卵巣炎)に注意が必要です。ワクチンがありますので、検討しましょう。郡山市ではおたふくかぜワクチン費用の一部助成(1回目のみ)があります。できれば2回接種すると安心です。
咳が続く場合、百日咳、マイコプラズマに注意しましょう。
「マイコプラズマ」は4年に1度オリンピックの年に流行が見られ、肺炎などを起こします。年長~学童期以降で多く見られますのでご注意下さい。当院では高感度のマイコプラズマ抗原検査装置を導入して、迅速に診断、治療を行っています。
「百日咳」は小さい頃のワクチンの免疫が落ちてきた小学生高学年~成人で流行し、4種混合ワクチンの接種が済んでいない乳児に感染して重症化する事が知られています。現在、小学生以上でのワクチンの追加接種が検討されています。2018年、全数報告となり、定点報告から外れました。